設立経緯

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国際比較環境法センター設立経緯

 環境問題は、これまでの地域的規模から地球的規模へと広がりをみせ、いまや、諸外国においても重要な政策課題の一つとされるに至っております。このように、人類史上かつてないほどの広がりと重要性をおびてきた地球環境問題の解決には、各国の有する経験や情報、国際的視野にたった検討が必要であり、さらには、自然科学や社会科学、人文科学等の垣根を越えた学際的研究が重要であります。

 国際比較環境法センターは、1991年3月、地球環境問題に関する情報を収集するとともに、経済的諸手法等の隣接諸科学も視野に入れ、研究者、企業実務家、行政担当官等の共同研究・意見交換を通して、わが国の環境問題を主として法制度面から調査・研究することを目的として設立されました。

 設立以来、関係各省庁の所管する環境法制や政策について検討し、また、関係機関からの環境問題についての委託研究等を精力的に実施してきましたが、このたび、環境問題に関心を有する企業や個人の皆様に広くご参加いただき、組織・活動の強化・充実を図ることといたしました。


特色と主な活動内容

【1】企業実務家、法律学・経済学等の研究者等からなる恒常的な研究会を組織しております。
すなわち、①そのときどきのトピカルなテーマをとりあげ、講演会・シンポジウム等を開催するとともに、②重要問題については、実務界と学界との意見交換等を行ない、また③関係機関等からの特定テーマに関する委託調査については、研究者を中心とした研究グループを組織しております。
ちなみに、これまで廃棄物・リサイクル問題、地球温暖化に関する法制度、環境と貿易等々について意見交換を行ない、必要に応じて行政担当官を交えた検討会を開催しております。


【2】諸外国の環境法研究機関と連携し、各国の環境法制に関する情報を収集しています。また、それら環境法令のデータベースの構築と同時に、諸外国の環境法を日本語に翻訳するプロジェクトに着手しています。


【3】行政機関や研究機関等から特定テーマについて研究委託をうけ、政策立案のための調査・研究等を行なっております。

 

組  織

 1 本センターは、実務界、学界等の環境問題に関心をもつ会員で構成されています。

 2 本センターの運営は、会員総会を最高機関とし、その下に活動全体を企画・立案する運営委員会と個別研究テーマについて調査・研究する研究調査委員会をおきます。

 3 会員には、企業・団体等を対象とする法人会員と、研究者・弁護士等の個人を対象とする個人会員があり、本センターの主催する研究会等への参加と、各種情報の提供を受けることができます。

 

主な活動実績

▼月例研究会/環境訴訟研究会/特別講演会/シンポジウム

 ①重要と思われる環境関連の立法動向や最新トピックスをフォローするため、随時行政担当官等をゲストに招いている「月例研究会」を開催している。最近の主なテーマは、再生可能エネルギー、リサイクル等々である。

 ②タイムリーなテーマを選定し、シンポジウムやワークショップを開催している。最近の主なテーマは、国内排出量取引制度等に関する法的課題等であり、研究者と企業実務家、行政担当者等を交えて活発な意見交換を行っている。

③環境をめぐる各種訴訟をテーマとして、定期的に「環境訴訟研究会」を開催している。最近の主なテーマは、アスベスト、原発訴訟、国際環境条約の適用、水俣病等々である。

 ④海外の環境法研究者が来日したさい、学術交流の場を提供するための講演会を開催している。主な研究者やテーマは、フンボルト大学:クレッパー教授「ドイツにおける環境法の最新動向」やフランクフルト大学:レービンダー教授「ドイツ環境法の発展」、中国政法大学:王燦発教授:「中国における環境紛争の裁判上、裁判外の処理と最近の立法動向」等々がある。

 

▼翻訳・出版活動

 ①オランダ環境法の概要紹介と主要法令の翻訳をまとめた『オランダ環境法』(国際比較環境法センター、2004)②世界各国の主な環境法の解説をまとめた『世界の環境法』(国際比較環境法センター、1996)

 ③別冊NBL48号「主要国における最新廃棄物法制」(商事法務、1998)

 ④「生物資源の保全と持続可能な利用に関する原則とガイドライン」報告書(日英版)を作成し、webで公開中。

⑤(財)地球環境戦略研究機関から委託を受け, Ott, Hermann and Sebastian Oberthuer The Kyoto Protocol : International Climate Policy for the 21st Century(1999,Springer)を翻訳した。その翻訳は、「京都議定書」(シュプリンガー・フェアラーク東京、2001)というタイトルで市販されている。

 ⑥主要国における環境法制の日本語翻訳作業を継続的に実施し、成果を季刊環境研究に定期的に掲載している。

 

▼国際シンポジウム

 ①96年地球環境条約をうまくいかすために-国際環境法の遵守と履行をめぐってラムサール条約、CITESを中心に-

 ②97年地球温暖化防止京都会議に向けた法と政策に関する国際会議(略称:プレCOP3法政策会議)の開催

 ③98年「野生生物の保全および管理に関する新たな動向」の開催